青春ひとりじめ 東真司 ボーイズラブ文庫


サーファの言葉を聞き、リアリーは驚愕(きょうがく)した。「結婚しなきゃ別れる、って泣かれたから、ってのはどうだ?」。

――心配するな、と言いかけたそのとき、玄関で突然チャイムが鳴り響き、ふたりの肩がビクンと跳ね上がった。あの時、意識も力も失った雅巳の身体を拭い、手当てをしたのは忠司である。「うっ……そうだけど、でも男だ!王子なんだから」。それさえなければ、神谷が泣いて縋ろうと、どうでもよかった凌馬だ。海王の短い問いは、的確に的(まと)を射ていた。「くそっ……!」。

低い息づかいで名前を呼ばれて、首筋がふわっと粟立った。髪型も変えさせ、冴(さ)えない眼鏡(めがね)を外せるほどに視力を回復させた。想いを込めた眼差しで。大学の卒業式も終わり、長い夏休みに入ったある日、沙維は誰(だれ)にも言わずにそっとオックスフォードを去ることにした。「拓哉……」。真琴が眉を寄せて渋い顔をしていると、鹿島に何気なく肩を抱き寄せられ、顎を指で掴まれた。「ちょうど一週間後、ここのボールルームでロス出身の上院議員、ハーベス・マクライヤー氏のプライベートパーティーが催される。彼は次期副大統領候補とされている重要人物だ。彼を懐柔したい。お前の仕事は奴を誑《たぶら》かすことだ」。

「ああ、アルの方が分が悪いからな」。引き裂かれた襟元から彼の手がするりと忍び込む。拓哉がベッド脇に目覚まし時計を置いていて、つい苦笑してしまう。「……?」。

ただ重ねるだけの、技巧も何もない口づけだったがリオンにはこれが精一杯だった。真琴が不思議に思って視線を向けると、すぐ間近に鹿島の顔があった。まだ死なせてもらえないのは、男がそれだけの罪を犯したからだ。肩幅が広く長身のサーファは、そう言ってリアリーの目の前に近づいてくる。今まで滝川は基に丁寧に接してくれたけれど、これからは主人と使用人だ。「あの偽りの森で出会った時からです」。

「ただ?」。


ボーイズラブ小説作品紹介


しばらく自分の存在を忘れたかのように、黙って見つめあっていた飯島とタツヤが英語で話し始めると、トオルの身体(からだ)を妙な疎外感が走り抜けた。クリスマスの夜についに結ばれたトオルと飯島は、ロイスと加賀と一緒に冬のボストンを訪れた。しかし、2人で訪ねたMITのキャンパスで、飯島が昔の恋人・タツヤに偶然再会したのを見て、トオルの心は激しく動揺した……。

タイトル:終わらない週末ダブル・ハネムーン
著 者 名:有馬さつき
レーベル:B−cube
発 行 元:講談社

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