ナースマンがゆく 高松大樹 BL小説


漆もあちこち剥げ、凝った引き手の金具もひとつ取れてなくなっていた。「……その勝負、乗った」。基に部屋へ入るようにと促し、滝川は小さな箪笥に歩み寄っていく。やんわりと首を絞められたように、諒はかすかな息苦しさに胸をあえがせた。いまあるのは、冷たい炯りだった。「アーティと過ごす時間もわたしには大切な時間だ。それに一日三十分くらいなら大した負担ではない」。「君が欲しい。わたしの心を支配している者は別にいるが、君にはそれ以外のすべてを捧げよう」。

深すぎるほど蒼い瞳が、目前に迫っていた。「ええっと……勉強を終わらせるのはいいけど、エッチはダメ。あんな……頭が真っ白になるようなことしたら、せっかく覚えた英単語や化学式を忘れちゃうもん。自信あるぞ!それでなくても頭悪いんだから、そんなの困るよ」。「……達郎がそう誓うの、これで何回目になるのかな?」。七重は勇一郎の指に顎を捕えられたのを感じた。

「だれも君を侮ってなどいないぞ。ただ、現場あがりの幹部連中は、君の扱いがいまいち判らないのだ。だからわたしが、君のために、君のポジションを示してやったのだ。君は『お嬢さん』と彼らに呼ばれると屈辱に感じるのだろうが、そう呼び、そう認識することで、周りは安心していられるんだ。総帥が大切にしている君を、女の子のように扱えば、とりあえずはいいのだろうとな。君のような男の扱いには慣れていなくとも、女の扱いならば、手慣れた連中ばかりだからな」。「おかえり、凌馬っ!」。「…優一…愛してるよ…優一…」。「俺の秘書がこんな場所で男と逢引とは、驚いたものだな」。「瞬也待って!どうしたっていうの?」。蘭は、オアシスで若者を雲から地上に降ろした。

鹿島は噴き出さないように口を押さえるので大変である。突然の告白は先ほどのキスとの相乗効果でひかりをひどく混乱させた。

最後の手段で、河内は大声で助けを求めた。

肉体を番わせあえば、桜庭の怒りが解けるとでも思っているようだった。意味ありげな笑みと、まとわりつくような視線が、啓をこわばらせる。


ボーイズラブ小説作品紹介


「トオルが縛ってくれって言ったら、そうしちゃうに決まってるよ」。「彼がそんなこと言うわけないだろう?」。ロイスの言葉に一瞬、飯島は戸惑いながらも同意を求めた。「絶対にないとは言えないんじゃない?」。ゴールデンウイーク中の帰省を控え、自分との生活を両親に話すべきかで悩んでいるトオルを心配した飯島は、ロイスに相談を持ちかけたが――。

タイトル:終わらない週末ラブ・ネスト
著 者 名:有馬さつき
レーベル:シフォンノベルズ
発 行 元:講談社

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